2011年1月17日月曜日

2.5世代シーケンサー Helicos - HeliScope

前のIon Torrentと並んで2.5世代シーケンサーとも言うべき、Second GenerationとThird Generationの間に位置しそうなシーケンサーが、Helicos社のHeliScope。

一昨年前の春、日本にHelicosのひとがセールスに来た。
バイオExpoか何かだったと思う。大勢の聴衆を前に、Single Moleculeの威力と可能性をプレゼンしていた。
その時の価格は、1台1億円だった・・・

さて、それから早2年。 日本には恐らく理研以外に入っていないと思う。
Helicos社も昨年経営が厳しくなり、大胆なリストラを行った。

シーケンス自体は、1分子を読むのでPCRを行う必要が無い。
これはSOLiDなどの第2世代シーケンサーとの大きな違い。
塩基読み取りには、化学的に塩基と切断可能な箇所に蛍光を付けてその蛍光を読み取る。
Vertual Terminatorと呼ばれる通り、蛍光読み取りごとに反応を止める。
反応を止めるのは、第2世代シーケンサーの特徴だ。
ということで、HeliScopeは2.5世代シーケンサーだ。

反応を1塩基読み取りごとに止めるので、リード長も短く、最長32塩基である。
数百万の各反応は、ばらばらに進む。これは第3世代の特徴だ。
生データのエラーは結構高く、5%以上あるそうだ。
スループットやランにかかる時間は第2世代シーケンサーと大差無いだろう。

Helicos社のためにも、利点を挙げよう。
PCRを使わないので、より「真実」に近い配列を測定できる。
また、このシーケンサーは、逆転写酵素を使用することでRNAを直接読める、らしい。

どうだろう?
HeliScopeは、第3世代シーケンサーの特徴である1分子シーケンスを売りにしているが、いかんせんリード長が短く、第2世代と比べてダントツに優れたアドバンテージが無い。
市場に出たタイミングも悪かった。
その時すでにロッシュ、イルミナ、アプライドバイオの3強が大きな資金力でシェアを広げていた。
また、Pacific BioSciences(PacBio)社やVisiGen Botechnologies社は真の第3世代シーケンサーの実現可能性を示すなど、「ちょっと待てばもっといいものが出てくる」感があった。

実際、PacBio社は2010年末に第3世代シーケンサーをリリースした。VisiGen社は2010年にLife Technologies社に買収されその技術はLife Techのブランドで近々リリースされるだろう。

悲しいかな、HeliScopeは日本では全くと言うほど導入されなかった。
代理店が無く日本語でサポートが得られないのが大きいか。
それとも価格が問題だったのか。
残念だ。テクノロジーは、素晴らしいのに。

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